25年間素人の私が企業経営に携わり、何とかつぶれず継続してこれたのは、リスクマネジメントを実行してきたことが一つの理由に他ならないと考えている。ここでは女性起業家を目指す方、あるいは現在女性経営者としてご活躍のみなさまに対して、メッセージ、あるいはエールとして、経営に大切なポイントをお伝えしたいと思う。

私の経営するサッシ・ガラス・住宅資材の卸売会社では、コンサルタントは入れずに自己流で様々なチェックや分析を行うようにしている。一般にコンサルタントは結局外側から我々の解決策を導き出すに過ぎないので、最も理解しているのは本当のところは経営者なり、管理者なり、社内の人間だからである。以下に私が実際に経営の現場で実践しているチェックリストを抜粋してみた。

  • 事務チェックリスト】
    作業場の整頓/カタログ整理、玄関の整頓
    領収書ファイル、見積り作成、納品書価格入れ、入金記録
    毎月10日と20日頃に顧客に見積もり決定か未定かの問い合わせ
    毎月10日頃クレームについてリストアップし、その内容とどのような経過で解決したかを記入して報告
    明細のはっきりした発注は、社長または専務に取り決め価格を聞いてメーカーにFAX
    昼休みにインターホン受信器を移動し、必ず専務と受注簿2冊を囲んでミーティング
    毎週火曜日と金曜日に営業外回りはカタログ届と説明
    見積りや受注伝票の整理は2日以上経過しても完了しないものは、責任をもって確認の上見積りを作成
    発注確認・・専務が発注したものを再度確認し納期を確認し納品書チェック
    受注後顧客管理データと顧客名簿を作成し会議のときに報告
    売上伝票・・上代価格と卸価格並びに工事所要時間を調べてから社長または専務に指示を仰ぐこと、売掛管理表、日別利益
    買掛伝票、請求書をチェックして社長に報告、特にクレームやダブリ等
    集金予定表・・売掛け支払い予定表により集金し領収書を作成し領収書を作成し社長に報告
    夕方5時に外灯点灯

  • 【現場チェックリスト】
    現場地図、件名、工務店名の確認、顧客電話番号を必ず知っておくこと
    仕事の内容の把握、専務によく聞いておく
    検品図面と発注書を見ながらサイズ確認、数量確認、加工確認
    ヘルメット着用の現場では着用徹底。工具確認及びはしご、立脚、スリッパなど備品確認、箒(ほうき)、ちりとり
    現場の鍵の場所確認
    工事用の鍵は必ず当社でスペアを持っておくこと。工務店の紛失に対応できる
    施主や工務店に必ず声を出して挨拶すること
    あとからクレームがこないように丁寧に工事する
    サッシやガラスの改築現場では完了後に雑巾で清掃する
    完了時施主・工務店様にこれで終わりましたが検査お願いますと挨拶する。不具合が直せない場合きちんと説明する
    工具の忘れ物がないか点検する
    専務に漏れなく報告する。不足分や問題点クレームは特に細かく報告のこと
    明日の準備と掃除/物置の鍵、倉庫と事務所の個所施錠

会社経営は財務のバランス、キャッシュの状態などを常に把握していなければリスキーである。物の売れない成熟した市場において売れなければ売れるように努力する、さらに売れなくても何とか船が沈没しないで済むような方策を常に考えておかなければならない。そこで我が社では財務チェックを毎月一回は行うようにしている。

  • 【CAMEL方式による財務チェック】
    C キャピタル/自己資本率はどれくらいか
    A アセット/資産(アセット)の内容はどうか
    M マネジメント/経営者の能力
    E アーニング/売上総利益、収益力、営業利益はどうか
    L リィクデテー/流動性、キャッシュフローはどうか

    まずCのキャピタル。自己資本は最低30パーセント確保する必要がある。次にアセット。売掛滞留、過剰在庫、未収金、過剰固定資産、過剰設備投資などに注意する。Mのマネジメントは文字通り経営者の能力を問う。Eのアーニング(利益)については特に売上総利益を重視する。これは買掛額や製品加工、職人工賃、外注工賃などの生産製造原価が効率よく運営されているかの証拠であり、企業経営の原資となるものだからだ。一般管理費にどう使っているか、企業が継続するために前向きな戦略的出費ならば少々多くても肯定できる。投資はキャッシュフローの中で行う。最後のLのリィクデテー。たとえ赤字でもソルベンシーマージン率がよければつぶれない。戦略的赤字なら問題ないと分析できる。

  • 【MECEによる問題解決チェック】
    Mutually Exclusive Collectuively Exhaustiveの略で、それぞれ重複することなくしかも全体としては漏れなく経営間のチェックをすること。問題点や論点をロジックツリーで提案し各々検討する。そしてソリューションシステムで解決する。例えば・・・

    • 目標在庫ゼロ。在庫を置かないためにぎりぎりまで倉庫を狭くする。問題点は1度に何棟も現場が重なったら荷物の置き場に困る。1度における限界は3棟分だとして5棟重なったら解決策として、アウトソーシングの組み立て会社に2棟預ける。荷物を一時預かりに預ける。

    • 目標売上は現在の1.5倍、目標利益は現在の1.1倍。問題は営業マンが足りず売り先市場に限界があること。この解決策として広告宣伝費を1.5倍にする。人数を増やさず売上だけ増やす。現在の人員をシフトして営業に1人配置して新規客を取る


常に深く考えていれば必ずチャンスは来ることを信じて努力することである。

営業活動してやっとの思いでお取引願って、利益もいただいて、ご恩で一杯のお客先に対して、通常ならばお取引を止めるなどとはとんでもないことに違いない。しかし私はそれを実行してきた。

A工務店の場合
ある設計士の紹介でA工務店と取引することになった。1ヶ月目は支払いも悪くなかった。6ヶ月目くらいから少し値引きがひどくなってきた。7ヶ月以上経つと支払いが繰り越しになっていった。売掛は泥水のように貯まっていった。毎月100万円は買ってくださっていたので、この顧客を失ったらどうなるのかシュミレーションした。その結果ただお金が回っているだけだということが判明した。つまり利益分が回収されるのは2年目以降だということだった。そしてその間はまた次の2年後のために貯まっていく。12月×100万円×2年つまり2400万円の現金を先に用意して15パーセントの粗利を2年後に回収するしかないという結果になった。かなりのリスクだった。純利益はなしで下手すると赤字・・。私は丁重にお取引を止めさせていただいた。

これまで約25年間で15軒ものお客様とお取引を辞退した。心の通わない人・会社を相手に不毛の取引・話し合いをすることは本当に神経が疲労してしまうだけである。企業は法人格を持ち、さらに倫理観を掲げて経営しなければならないと私は思う。

これまで支払いの悪い取引先との取引を止め、倫理観の無い問屋やメーカーの請求書を是正し、防御してきたのだが、それが本当の意味で真のソリューションになっていたのか、今ひとつ私には釈然としないのである。ただ支払いが悪いからといってやみくもに取引を止めるというのであれば、零細企業にはお客様などいなくなってしまう。本来は、お客様と一緒に原因を考察して問題解決をすることが、経営の真心であり、真のソリューションではないだろうか。最近は大いに反省を込めてお客様の問題解決をしながら事業活動を推進していこうと思っている。ではどのようにお客様の問題を解決していくことが良いのだろうか。

  1. 先ず、お支払いの悪いのは何故か原因を調査する】
    元請けからの支払いが遅いのではないか、売り掛け債権の滞留があるならばそれはどういう原因から来ているのか。単に経営者の使いすぎなのかチェックする。使い方に方針があるかどうか見る。

  2. 【銀行がお金を貸さないのは何故か】
    B/S、P/Lが悪化したからなのか、営業力、収益力がないからか。利益の無い売り方をしているのではないか。固定費を変動費に変える努力をしているか。在庫や金利負担が多いのは何故か。返品ばかリしていないか。取引先に倒産されて連鎖の影響でキャッシュがないのか。過度な設備投資がないか。

  3. 原因がわかったら下記の段取りで解決するよう提言・指導する。その時点で前向きでなく非協力的な会社の社長であればやむを得ず取引停止とする】
    先ず全力で売り掛りを回収する。売るときは回収のリスクを見ていただく。固定費、一般管理費の節約をする。見栄を張らない。インフローを多くアウトフローを少なくする。製造原価を下げる努力をする。但し仕入先の支払いだけは優先させる。その努力でB/S、P/Lが改善される。役員は自らの収入の30パーセント以上預金して不測の事態に備える。経営者が会社を大切に考え必死に頑張る。経営者は道楽せず、暇見ては読書をして学び、出来ることから実行する。

以上の努力を重ねれば政府系金融機関である国民生活金融公庫などが必ず貸してくれるだろう。銀行を先にあてにしてはならない。

経営がおかしくなる取引先の経営者にはおもしろいほどの共通点がある。先ず

  1. 威張っている
  2. 2号、3号の女性がいる
  3. 見栄っ張り
  4. 外車が好き
  5. 賭け事が好き
  6. 虚勢を張る
  7. 謝罪が出来ない
  8. 支払いがルーズ
  9. 時間にルーズ
  10. 整理整頓が下手
  11. 事務所が汚い

殆ど当たっているからチェックしてみてくださると良い。そんな人はどんどん取引を縮小させることだ。私の経営する会社のお客様にはそんな人は一人もいなくなった。なにせ取引を止めまくったからである。私が見栄っ張りで売上至上主義ならばお客様を切ることはたぶん出来なかったことだろう。

逆に良いお客様にも共通点がある。

  1. 謙虚
  2. 誠実
  3. 約束を守る
  4. 礼儀正しい
  5. 真面目
  6. 賭け事をしない
  7. 仕事中心主義である
  8. 価格的には厳しいことが多い

考えれば当たり前のことなのだが難しい。堅実に経営しつづけるのは大変なことなのである。人間とは欲が出て間が差すこともあるからだ。真面目で向上心が強い社長ほど欲のために失敗することもある。我々経営者は常に従業員や仕入先やお客様に対する責任というものがある。最も堅実な経営は顧客のために自分の強みを生かし、お役に立つことである。そして、キャッシュは求めるのではなく、結果として入るものであるから先にお客様に喜んでいただくことが最も大切でなのある。

営業の表舞台に出ていた私は現在の女性営業ウーマンよりは世間で言えばセクハラを経験していたと思う。しかし、そちらの面ではある程度は大目に見てきたつもりである。宴会になると毎度のこと、みんな酔っ払って訳がわからなくなっているのだからいやでも多めに見て差し上げないといちいち角を出していては仕事にならない。最近でこそセクハラセクハラと声高に言われ始めたため、殿方たちも注意するようになってきて飲み方がとても上品なので良い傾向になってきているが、今から思うと昔は男性天国だったようだ。若い営業の女性にアドバイスするならばとにかく男性達は好意を持てばそうなるのだと考えて、ある程度ヴィジブルなことは笑って流すとよい。結局女性は男性の異性質というものを理解して営業しなければ絶対続けることは無理であろう。セクハラ問題では上手に逃げることや近寄らないという方法はいくらでもある。危険を感じたら自分が先に好きなタイプの男性のところへビタッとついていることである。

本当に恐ろしいのは例えば出世と交換にブラフをかけられながら変体行為を強要されつづけた角川書店の元男性秘書の例である。男性のほうがむしろ深刻な場合がある。何故なら男性にとっては出世は弱みであるからで、女性はいやなら逃げればいいのだ。私ならそういう上司がいる会社は逃げる。どうせ出世したってろくなことはない。レベルが低いだけだからだ。

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